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- Need of Your Heart's Blood 1(完結済み)
- Need of Your Heart's Blood 2(完結済み)
- Need of Your Heart's Blood 3(連載中)
- 天使の涙(完結済み)
- 千の夜の約束(完結済み)
- Eternal a Contract(完結済み)
- 贄の花嫁(連載中)
- 君の、隣で。(連載中)
- いけない理由(完結済み)
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「おい、起きろ。」
ハリウッドの売れっ子イケメン俳優も、スタイル抜群のトップモデルも裸足で逃げ出しそうな、人間離れした感のある美を備えたその少年の口から、ドスを利かせた台詞が吐き出された。とろける様な、美声なのに。よくよく見てみれば、眉間にシワまで寄せていて。せっかくの美貌を台無しにしていた。
「おい、いい加減目を覚ましやがれ。」
不機嫌そうな声で、彼は言った。
第1話「月夜の出来事」冒頭

一昨日咲き始めたばかりの桜の花びらを容赦なく巻き込み、乾ききった校庭の砂埃を盛大に舞い上げる。轟々と音を伴いながら吹き付ける強風は、その風下に建つ体育館へ、花と砂粒とを次から次へと叩きつけて行く。
ガタガタと、全開にされた扉が風の圧力に悲鳴を上げるが、その音すらかき消す悲鳴が、体育館から出てきた制服姿の少年少女たちから上がった。
第1話「ある日の光景」冒頭
/ Need of Your Heart's Blood 2
吸血鬼となり、朔海と共に生きると決めた咲月。
だけど……吸血鬼になるための儀式って? 王族と認められる為の試練とは?
待ち受ける、咲月の覚悟を試すような試練の数々。
果たして咲月は、そして朔海は全てを乗り切ることができるのか――。

その合間にびゅうびゅうと吹きすさぶ風が古びた雨戸を今にも破ってしまわないかと不安になるような音をひっきりなしに奏で、無数の雨粒を突き立てる。
――こうなると、さんざん迷った末に結局買わなかった事を少しばかり後悔したくなる。
そういえば、今は台風の季節真っ只中だったと、今更思い至った頭を抱えながら、咲月はちゃぶ台の上に置いた携帯電話を手に取った。
第1話「ある嵐の夜に」冒頭
/ Need of Your Heart's Blood 3
魔王ルシファーの命により、正式に王位に就くことになった朔海。
単に国を治めるだけでは済まない使命を与えられた2人に、またしても難題がふりかかる……!
果たして、魔王の願いに応える事ができるのか――。

あの日と同じ様に、豪奢な6頭立ての馬車を操り、屋敷の門前で出迎えたのは、朔海の教育係兼侍従長だった涼牙だった。
相変わらず、パリっとした黒の燕尾服に白いシャツ、赤い蝶ネクタイ、白い手袋に、ビシッとセットされた髪と一部の隙もない装いで、彼は慇懃に頭を下げた。
馬車の扉を開け、従僕が慌ててその前へ踏み台を置くところまで、まるであの日のVTRを見せられているかのように全く変わらない。
だが、こちらはあの日とは随分と違う。
第1話「始まりのその日の光景」冒頭
/ 天使の涙
日々人外に囲まれた生活を送り、異能の力を有する母を持ちながら、
異能において不出来な自分に自信の持てない少女と、
自分の存在意義を見いだせない元天使の狛犬とに突如降ってわいた災難が牙をむく――。
※緋色の絆の続編です。

長い――場の空気を鉛の如く重く凝り固まらせるには十分なだけの――長い沈黙ののち、地獄の鬼もかくやという低いうなり声はそう言ったのは。目の前の豪奢な椅子に優雅に腰かけた男で。
床まで垂れた、淡く、青みがかった艶やかな長い銀髪。切れ長の目に埋まっているのは――人にはありえないアメジストの瞳。
そして。ゴシック調の椅子をさらに豪奢に彩るのは――その背に生えた、漆黒の翼。
第1話「因縁の対面」冒頭
/ 千の夜の約束
好いた娘が、いた。かの偉大なる王より預かった約束を、捧げても良いと思えるほどに愛した人。
だが、運命の悪戯が彼らの未来を大きく変えた。
分たれた運命の先での新たな出会いと、再会と――。
果たして彼が選ぶのは――?

ライラは顔を覆うベールの端を指先でつまみ、その姿を盗み見た。
辺りは凍える程に寒かった。気休めにもならない、薄っぺらな上着をキュッと握りしめて、小さく小さく縮こまりながらライラは、その美しい人に見入った。
第1話「砂漠の夜」冒頭
/ Eternal a Contract
それは、永久の約束。
それは、魂を懸けて誓った大事な誓約。
約定を果たすため、命を懸けて廻した運命の歯車が、時を越えて噛み合い、
新たな物語が今、回りだした――。

パンっ、と顔の前で手を合わせた彼が差し出した招待状(カード)に目を落とす。
「頼むよ千恵(ちえ)……助けると思って! 一緒に来てくれよ」
そう言って、今度は白い封筒を差し出し、中からチケットを二枚出し、机の上に置く。
第壱話「the ring of a bell」冒頭
/ 贄の花嫁
人間と吸血鬼が共存する国で、代々公爵位を継ぎ、公国を治めているのは吸血鬼。
人間の国を、吸血鬼が治めている理由。
それは、国の安寧を守るためのシステムを維持する為――。
公爵家と、その花嫁に課せられた宿命。
そして今、また――

「……うむ。して、どうなのだ? その後の様子は」
「は。どうやら状況はあまり芳しくないそうで……」
「代替わりの時は近い、か」
重々しい溜息と共に小さく呟きを漏らし、男は改めて伝令役に告げた。
「侯に、使いを出せ。それと――」
「――それと、あれらを呼んでくれるか。そろそろあれらにも覚悟を決めて貰わねばならぬ時期が来たようだ」
「――御意」
第1話「予兆」冒頭
/ 君の、隣で。
実在の人物との関わりを拒み、自らの殻に閉じこもる少女。
彼女がある日出会った、吸血鬼だと自ら名乗る男に突然、
「俺の、協力者(パートナー)になって欲しい」
と言われて。
彼に手を引かれ、踏み出した世界で、彼女が見たもの。
そして、彼女が下した決断は――。

敷地をぐるりと囲うように生い茂った樹木から落ちてくる、幾重にも重なった蝉時雨。
その煩うるさいくらいの音の中でもはっきり聞き取れる、澄んだテノール。
「俺の名は、桐生梓馬(きりゅうあずま)。『夢路(ゆめじ)の導き』という名の組織(ギルド)に所属する狩人(ハンター)で――」
人気声優もかくやという綺麗な声が語るその言の葉は、確かに日本語である事は理解出来るのに、残念ながら何を言っているのかさっぱり理解できない。
唯一、真弓(まゆみ)に理解できたのは、彼の氏名のみ。
「……………………」
黙り込んだまま、胡乱うろんな目を向ける真弓に、その男は淡々と事務的な口調で告げた。
「俺は、現在、梅宮学園高等学校にて発生している事件の調査と、犯人の捕縛の任を受け、組織から派遣された――吸血鬼だ」
第1話「夢路への誘い」冒頭
/ いけない理由
大人が言う、「近づいたらいけない」お屋敷。
だけど、その理由は誰も教えてくれない。
だから、私はそれを知りたくて、ある日冒険に出かけたんだ。
まさか、あんなことになるとは思いもせずに――。

この村の子どもなら、必ず大人からそう言い聞かせられて育つ。
お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん。お隣のおばさんも、お向かいのお兄さんも、日曜学校の先生も、教会の神父さんも。
少しずつ言葉は違っても、皆言うことは同じ。でも、誰も皆、その理由を教えてくれない。
ただ、ダメだと言われても、納得なんかできない。
ちゃんと、理由を説明してくれなきゃ、どうしてダメなのか分からない。
ねえ、どうしてダメなの?
「プロローグ」
